酒米(酒造好適米)と食用米の違いとは?

酒米 日本酒知識

酒米

皆さんは日本酒を購入される時、どんな風に選んでいますか?
日本酒はラベルの中に様々な情報が書いてありますが、かなり難しいですよね。
かと言って、もちろん有名銘柄の日本酒だったり、お店の人におすすめされた日本酒を選ぶことも多いかと思います。
特にお米の情報は、普段食べている食用米ではなく、酒米(酒造好適米)なので馴染みないお米です。
今回はそんな酒米(酒造好適米)を詳しく解説していきます。
※酒米は1951年以降、正式には酒造好適米と呼ばれておりますが、意味は同じです。

目次
1.酒米(酒造好適米)とは?
2.
酒米(酒造好適米)の種類
2-1.山田錦(やまだにしき)
2-2.五百万石(ごひゃくまんごく)
2-3.美山錦(みやまにしき)
2-4.雄町(おまち)
3.
まとめ

1.酒米(酒造好適米)とは?

早速ですが、まずが酒米(酒造好適米)に関して解説していきます。
読んで字の如くではありませんが、酒米(酒造好適米)とは、お酒(日本酒)に特化したお米を意味しています。逆に普段ご飯として食べているものは食用米(飯米)と言い、酒米(酒造好適米)とは味だけでなく性質等にも違いがあります。では、早速違いを解説していきます。

ポイント1:お米の粒が大きい

まず1つ目のポイントは、お米の粒の大きさです。お米の大きさは千粒の重さで計測しますが、酒米(酒造好適米)は食用米に比べて大きいのが特徴です。
酒米(酒造好適米):25~30g > 食用米:24g以下

ポイント2:心白の含有量が多い

2つ目は、酒米(酒造好適米)にしかない特徴になりますが、お米の中心に「心白(しんぱく)」があることです。心白とは、お米の中心にある白色不透明な部分で、タンパク質の含有量が少ない、粘度が高くお米を磨いても砕けない、お酒の醪(もろみ)にもよく溶けるという性質があります。酒米(酒造好適米)はこの心白の占める割合が食用米と比較して大きく、酒造りに適した構造をしています。

ポイント3:たんぱく質・脂質の量が少ない

3つ目は、心白に続いて同じく量の違いになります。それはたんぱく質や脂肪の量が食用米に比べて少ないことです。通常、ご飯として食べる場合、タンパク質や脂肪は旨味に繋がる大切な要素です。しかし、日本酒を造る上では、苦みや雑味になってしまうことが分かっています。

ポイント4:吸水率が良い
4つ目は、吸水率の違いです。日本酒はお米を溶かして出来るお酒になりますので、水を含みやすい性質が適しています。

ポイント5:お米の表面が硬く、中身が柔らかい(外硬内軟性が良い)
最後に5つ目は、外硬内軟性が良いことです。あまり聞きなれない言葉ですが、字の通りで外側は硬く、内側が柔らかいということを意味します。こちらも4つ目の吸水性と似ていますが、日本酒造りで使うお米が、磨きという外側を削る工程があります。このことから外側が崩れにくいよう硬くなっており、内側は吸水性に富んでいる外硬内軟性が良い性質を持ったお米が適しています。

ここまで、酒米(酒造好適米)と食用米の違いのポイントを解説しました。性質などは色々と違いがあるのですが、個人的に一番分かりやすくお伝えすると、酒米(酒造好適米)は日本酒に特化しているだけあって、食用米に比べて「少量生産が故に高価」、そして「ご飯として食べるには美味しくない」ということです。

2.酒米(酒造好適米)の種類

それではここからは、具体的に代表的な酒米(酒造好適米)をいくつか紹介していきます。

2-1.山田錦(やまだにしき)

まず一番有名なのは「山田錦」です。酒米(酒造好適米)の中でも日本で一番の生産量を誇り、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。生産地で特に有名なのが兵庫県となり兵庫県産の山田錦は1つのブランドになっています。山田錦の特長は香味が良いこと、きめの細かいまろやかさを持った仕上がりになることから、大吟醸などの高価な日本酒の原料に用いられることも多いです。

2-2.五百万石(ごひゃくまんごく)

次にご紹介するのは「五百万石」です。酒米(酒造好適米)としてはとてもメジャーな品種で、歴史としては昭和32年に新潟県農業試験場で開発されたお米になります。お米の粒が小さいことから、大吟醸などの高精米(お米をたくさん磨く)にはあまり向いていませんが、キレのある、淡麗辛口の美しい酒に仕上がる特長があります。

2-3.美山錦(みやまにしき)

美山錦も五百万石に続いて、スッキリとした味わいが特長の酒米(酒造好適米)です。歴史としては、昭和53年に長野県農事試験場にて、突然異変によって誕生した比較的新しいものです。東北地方全体で広く栽培されており、他の米と比べて比較的辛くなく、香り高くはないものの、しっかりとお米の味わいを感じることが出来ます。

2-4.雄町(おまち)

雄町は酒米としての歴史が古い酒米(酒造好適米)です。先に紹介した山田錦や五百万石のルーツとなっており、その栽培の難しさから次第に山田錦や五百万石に栽培が変わっていた経緯があります。最近までは、生産量がどんどん減少していくことにより、絶滅するのではと言われていましたが危機を迎えておりましたが、岡山県の酒造メーカーを中心に復興し、近年では雄町を使用した日本酒も増えてきました。が再び生産されるようになりました。雄町からは山田錦よりも濃醇でしっかりとした味わいの日本酒を造ることができ、再び脚光を浴びています。

3.まとめ

酒米(酒造好適米)と食用米の違い、そして代表的な品種に関して解説していきました。
今回は代表的な種類を取り上げましたが、酒米(酒造好適米)は各都道府県で日々研究開発されており、現在では100種類以上があると言われています。ぜひお米の違いを楽しみながら、日本酒を飲んでいただけたら嬉しいです。